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昭和にかえりたい

ライスカレー 粉末ルー、人気再び

「ハヤシもあるでョ」が流行語にもなった宣伝ポスター。南利明の名古屋弁も強烈だった=オリエンタル提供
「ハヤシもあるでョ」が流行語にもなった宣伝ポスター。南利明の名古屋弁も強烈だった=オリエンタル提供

 玉ネギにニンジン、ジャガイモ。この三つは思い出すのだが、なぜか肉の記憶はない。母のつくる唯一の洋食・ライスカレーは、メリケン粉で増やしたせいか、冷えると表面にシワが寄った。それでもうれしかった。はしでなく、銀色の匙(さじ)(スプーンとは呼ばなかった)で食べるだけで、「これが洋食なんだ」と。カレー粉の香りと味が、そのまま舌にのったライスカレー。店では決して味わえないぬくもりが、そこにはあったように思う。【津武欣也】

 「昭和20~30年代、子どものころに食べた『オリエンタルカレー』の味が忘れられません」(奈良県葛城市、杉岡保子さん)。1月の当欄で杉岡さんの探し物を紹介したところ、岐阜県土岐市の可知琴子さんから「近くで売っています」と現物が届いた。それも「ハヤシもあるでョ」とばかりに、即席ハヤシドビーも添えて。あの懐かしのカレーは、今も売られていたのだ。

 「オリエンタル」(名古屋市)の工場を訪ねると、創業者の孫で専務の星野益八郎さん(38)が「昭和40年代末以降、カレーは愛知、岐阜、三重、静岡県西部のエリア販売に。全国展開から縮小せざるを得なかったようです」。即席カレーの主流が粉末から固形ルーに替わる中、粉末にこだわる同社は苦戦を強いられた。それが、中京圏以外の消費者に「まぼろしのカレー」と言わせる原因だった。

 「オリエンタル即席カレー」の誕生は戦後間もない昭和20年11月。カレー粉と小麦粉を炒めるルー作りの手間を省けないか、と考えた創業者の故・星野益一郎さんが妻と2人で作り上げた。「リヤカーに商品を積み、チンドン屋の先導で売り歩く商法。あんパン1個が5円の時代に、35円の即席カレー(5皿分)が飛ぶように売れたそうです」と益八郎さん。ラジオやテレビCMもいち早く取り入れ、昭和38年からスポンサーとなった人気番組「がっちり買いまショウ」(MBS)で、全国に名を売った。「おまけ」で配ったスプーンは3000万本にもなるという。

 昭和37年にはカレーに容器入りスパイスのチャツネを添えた「マースカレー」を、44年にはレトルトパックの「スナックカレー」を発売。テレビから流れる南利明の「みんなウッハウハ、ウッハウハ喜ぶよ。ハヤシもあるでョ」の名古屋弁は流行語にもなった。

 ◇「まぼろし」のオリエンタル--63年、変わらぬ味

昭和30年代の即席カレー作り。大きなフライパンを並べ、職人が手作業でいためていた=オリエンタル提供
昭和30年代の即席カレー作り。大きなフライパンを並べ、職人が手作業でいためていた=オリエンタル提供

 最盛期、月産100万~150万個に上った即席カレーとマースカレーは今、各5分の1ほどに。ただ、粉末にこだわったカレーは昭和の味への郷愁も手伝ってか、ここ数年で売れ行きが急上昇。再び、全国販売網に乗せる計画が進んでいる。

 「時代に合わせて味を少し変えただけで、消費者から電話や手紙が来るので変えられない。うれしい反応です」と益八郎さん。誕生から63年、日本最長寿のオリエンタル即席カレーは今も「昔の味」で健在だった。

   ◇

 オリエンタルカレーについては、可知さんのほか次の皆さんから情報を頂きました。ありがとうございました。

 石鍋ひろ子さん(横浜市)▽松下ひとみさん(川崎市)▽守分伸子さん(東京都)▽本橋みゆきさん(同)▽天川勤さん(埼玉県深谷市)▽池田ゆかりさん(静岡市)▽大石美代子さん(同)▽弓勢久美子さん(京都市)▽田中由紀子さん(名古屋市)▽伊藤雅之さん(愛知県江南市)▽松本陽一さん(大阪府枚方市)▽西村妙子さん(兵庫県豊岡市)

 ◇業務用で継承--ベル、キンケイ

 横浜市の加藤和子さんがもう一度、と願うのは「黄色い箱の表に『ベル』(鐘)の絵が付いていたベルカレー」。東京都小平市の瀧野早苗さんは「紙袋に粉状のルーと肉片が入っていたキンケイのカレー」だ。

 ベルカレーは姿を変えて残っていた。ベル食品工業(大阪市)東京支店次長の星野正夫さん(59)は「元々は東京の会社(ベル食品)でしたが昭和41年に倒産。ノウハウを継ぎ、商標を買って再建したのが今の会社です」。加藤さんが覚えている四角いルーは当時、全国の精肉店や食料品店に置かれていたという。

 現在の主力は業務用カレー。一般消費者が今、買えるのはレトルト数種。それも、西浅草・合羽橋商店街の「プロパック」など東京都内に限られる。

 昭和6年創業の老舗「金鶏食品」も昭和40年代に消えていた。味は平和食品工業(旧金鶏商会、東京都世田谷区)が引き継いだが、「キンケイ」のブランドは継がれなかった。「『ヘイワ』ブランドのカレーはレストランなどの業務用。市販ルートには乗っていません」と、同社専務の河野善福さん(70)。同社のカレーは、問屋さんルートでしか入手できないようだ。

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 ●購入など問い合わせ

 ▽オリエンタル営業本部(電話0587・36・1515)。即席カレーは1個126円前後、マースカレーは同168円前後。

 ▽プロパックかっぱ橋店(東京都台東区西浅草3の7の5、電話03・3843・2341)。ベルビーフカレー1個118~198円。

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コメント

オリエンタルマースカレーでしたら、沖縄でもスーパーで普通に売られていますよ。
沖縄の方言で「塩」のことを「マース」というので、沖縄の商品だと勘違いしている人も多いそうです。実際にはマース(MARS)= Mango,Apple,Raisin,Spice の略らしいですね。面白いです。

投稿:はちゃぐみ
2008年10月21日 (火) 19:48

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