池田信『1960年代の東京』路面電車が走る水の都の記憶

永田町1丁目の旧参謀本部跡から皇居桜田濠と警視庁の旧庁舎を見る。跡地に立っているのは有栖川宮熾仁親王の銅像。銅像は1895年に建立されたもので、1962年に有栖川宮記念公園に移された。江戸時代はここに彦根藩の上屋敷があり、幕末に桜田門外で暗殺された井伊直弼も住んでいた。室町時代に最初の江戸城を築いた太田道灌は「わが庵は松原つづき海ちかくふじの高根を軒端にぞ見る」と歌に詠んでいる。「海ちかく」とは日比谷入江のことで、その当時の海岸線は、現在の皇居と丸の内のビル街を波で洗いつつ、大手町あたりまで及んでいたという。有栖川宮は戊辰戦争と西南戦争で征討大総督を、日清戦争では陸・海軍の総参謀長を務めた。銅像は1895年に建立されたもので、1962年に有栖川宮記念公園(南麻布5丁目)に移された。それより2年前、日米安保条約をめぐって国会周辺が騒然とした1960年に、参謀本部跡地には憲政の功労者である尾崎行雄を記念して尾崎記念館が建設され、その後これを吸収する形で憲政記念館が完成した。=東京都千代田区永田町1丁目で 1962年(昭和37年)2月18日、池田信(いけだあきら)さん撮影 毎日新聞社刊「1960年代の東京」220―221ページ掲載

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